駆除した外来種を持って神子元島で夜通し釣りしてみた



今年も磯の大物釣りの季節がやってきた。毎年この時期までに、地元で駆除した外来魚をため込んでいる。駆除した外来種活用の実践研究の季節でもある。


とりあえずタマンを釣りたいと思ったが、昨年行った伊豆大島はいろいろと面倒だった。冬行こうとして行けなかった下田沖根の神子元島ではこの時期、夜釣りが可能と知り行くことにした。クエも釣れると聞き期待が止まらない。


渡船屋に予約の電話を入れると、人が集まらない場合は出船中止と、冬の悪夢を思い出す。不安の中迎えた前日の昼下り、渡船屋の番号から入電。人が集まったので夜釣り出船するということで、とりあえず、一安心する。


前日まで予定が分からないこともあり、特急の予約ができず、出船確定時には、踊り子は全て埋まっていた。鈍行だと早く出ねばならず、重い荷物と共に移動する中乗り換えが多いのもキツい。


当日深夜、改めて駅ネットを確認すると、先頭車両かつ通路側の微妙な席が一つだけ空いていた。すかさず予約をキメ、後頭の憂いを断った。


下田駅に到着し、腹ごしらえの場所を探す。前回、気に入った磯ラーメンにしようと、駅前の店に行くが「準備中」。目の前のローソンで屯し、暫くしたら開店した。


なるべく持っていく食料を減らすべく食い溜めしたい。磯ラーメンに餃子、さらに白米も頼む。


それなりに量があるため、食切る頃にはいい時間に。会計を済ませると、急いで店の前のローソンにて水や氷、火器着火用のライターをなくしたためマッチも買い、出船場所を目指す。


集合時間を少し過ぎ到着。こちら以外の客は一人だけのようだ。愛知から来たといい、神子元島の常連らしい。数日前に船頭に聞いた話として、オナガグレのタナが深く、竿2本にも達するということだった。タカベもいるときはいるが、直近ではいなかったとのこと。また、基本フカセとエギソグしかしないようで、「タマン何それ?」という感じ。


おしゃべりを続けていると船員が来て、もう上陸するということだった。


船首に行くとその威容に圧倒された。横根などとは全然違う立派な島だ。


南西風とうねりの関係でカトリの鼻のやや北の微妙な位置に上陸。潮が全然動いていない。聞くと、ここはそういう場所だということだ。確かに、島内のポイントには大抵「本場」「崖下」「カトリの鼻」など地名がついているのにここは無である。(各ポイントの名前はこちらを参照


初見の場所かつ想像より広いので、とりあえず島内を巡ってみる。カメ根、青根が見える反対側のほうが風は強いが、潮が動いていて釣れる雰囲気ムンムンだ。


とりあえず、最初の場所でコマセを作り竿を出すことにした。刺し餌はいつも通りザリガニのむき身。




コマセは今回、おからメインではなく米ぬかメインにしてみた。おからより飛ぶし、何より乾燥しているので保存が楽だ。


レシピ

ザリガニミンチ 1kg

おから     500g

米ぬか     1kg


コマセを撒いても何も浮いてこず、餌もあまり取られない。ウキはピクピクとあたりを捉えているが、乗らない。後でチラッとシラコダイが見えたのでそれかも。


風表への移動の途中、同乗者を見ると竿を曲げていた。後で聞いたところによると、大物アオブダイが釣れたらしい。コマセを撒くと浮いてきたようだ。ここでは何か浮いてこない限りはすぐ見切りをつけたほうがよさそう…。


島の反対側へ行き、本場の適当な場所で竿を出すが、これといった反応を得られない。



右の釣り座に移動。暫くしてやや竿が曲がる。木っ端イスズミだった。とりあえず、お土産を確保できてうれしい。それ以降反応ないのでさらに移動。


潮がよく動き、なおかつ荒れまくっているわけでもない、今日一番雰囲気の良い釣り座である。時間は午後3時を回り、そろそろ夕マズメの活性化に期待がかかる。しかし、やはり、ザリガニを流しても反応はない。何度か繰り返すと、ニシキベラがくっついていた。


今回はもうフカセはダメかなと思い始めた矢先、同乗者の話を思い出しタナを少し深くした。そしたら鋭い引き…!




イサキが釣れて一安心。やはりタマンなどは手堅く釣れるわけではないので、実はお土産としてはイサキが本命中の本命だったりする。

また流すとすぐ竿が曲がる。イサキにしてはやたら引くし、底へ潜ろうとする。もしかして、良型オナガか? と思い水面に浮かせると…



新魚種ムロアジだった。どうみてもサバにしか見えないが、尾っぽにはちゃんとゼイゴがありアジの一種だとわかる。(帰りの船ではムロサバとバカなことを言ってしまった・・・)

当地ではこいつを生きたまま針にかけ泳がせるのが、クエを釣る一番の方法だとかなんとか。今回はとりあえず、お土産用として保存した。


ここからは、連続でイサキとムロアジが竿を曲げてくれた。不思議と遠くになげると釣れず、手前を流すとヒットした。

その後、ムロアジともちょっと違う感じの強い引きに遭遇。上げられそうであったが、糸が切れて終わった。

直後、右手のサラシを狙うと同様の引き。オナガに期待がかかるが、やはりこいつだった。


ここからはイスズミが連発。不思議とグレだけ釣れない。ふと足元に目をやると、へチ際にピンク色の魚がいた。オジサンにしてはピンクすぎるしブダイの一種か。



5時半を過ぎると、アタリ自体が無くなってきた。海はいい荒れ具合なんだが、潮汐表では上げ止まりに入った模様。


6時半くらいまで続けたが、暗くなる前に夜釣りの準備をしたいのでフカセは切り上げた。腹も減ったし。

一旦、荷物を置いた反対側に戻り、辛ラーメンとアルファ米の五目ご飯を喰った。こちら側は風がないせいか、蚊の猛攻に晒される。蚊取り線香一つじゃ到底防げそうもない。周囲三方において、煙幕を張らないと解放されないだろう。

腹ごしらえを済ませ、ぶっこみ用の餌のブラックバスなどをバッカンに入れる。


今日まで地元の多摩川などで釣り集めてきたもので、豆サイズは刺し餌に、中型はぶつ切りにして撒き餌にする。駆除した外来魚で高級魚が釣れたら最高だ。うま味に乏しいバスでは、高級魚を喰いなれてるここらの魚にはちと心もとないのも事実。刺し餌としては一応、塩漬けアジなども持ってきた。

先ほどの釣り座で日没を迎え、乗船前、氷と一緒に買った静岡麦酒を注入した。磯で飲むビールは格別だ。


これで疲れがどっと出て、すこし寝てしまった。起きたらもう10時半前。やっとこさぶっこみ仕掛けの用意をする。天秤仕掛けで錘は20号。竿はリーズナブルな大物竿で売ってる「極靭」、リールは5000番くらいのやつ。

とりあえず、子バスをつけて投げるが、凄まじい勢いでしかけが流されているのを感じる。このままだとどっかの沈みにあたって根がかるか、道糸のPEが磯に引っかかると思い回収。

幸いにも根掛かりロストはなかったが、どうしたものかを思案に暮れる。本場側のほうが潮通しが良いが、流されっぱなしでは釣りにならない。モロコ(クエ)釣り師などは錘40号を標準装備しているようだが、それでも流されそうだ。

後、当たり前だが絶海の孤島なのでめちゃくちゃ暗い。これまで人工光の恩恵を多少は受けられるポイントでしか夜釣りをしてこなかったので、思わぬハードルになった。この状況で荒れてる海で竿を出し続けるのは困難と思い、反対側へ戻った。

こちらはほぼ凪でとりあえず、釣りにはなる。仕掛けを投げたら、適当にぶつ切りの魚を撒く。ただ、蚊の猛攻を受けながらひたすら待っても、アタリが全くない。せめてウツボくらいいないものかと思うが、これもかからない。

その辺で捕った磯ガニを付けてみたりもするが、状況は変わらず。ただ、外来魚を海中に投棄するおじさんと化した。

午前2時ごろには、ぶっこみ釣りに見切りをつけ、そこらにわんさかいるデカフナムシでグレを狙うことにした。

またまた、本場側に移動。爆風かつ海は大荒れだ。暗いうちは怖いので入り江に移動。


こちらは落ち着いて釣りができる。他の釣り師も同じことを考えているようで、湾内は無数の光が煌めいていた。

3時半過ぎ、だんだんと明るくなってきたところで、外向きの釣り座に移動した。相変わらず爆風で、海は荒れ放題である。日中連発した釣り座などで竿を出したが、これといったアタリもなく餌も取られない。

帰りの船が来る間際の4時半前、最後にいい流れになっていた本場1号の先端あたりで何度か流してみたが反応はなく納竿とした。

迎えの船がすでに到着し昼釣りの客を下ろし始めているのを見て急いで反対側に戻る。荷物をまとめる時間はないので、とりあえず、竿をたたむ、タモを分解するくらいはして帰りの船を迎えた。

帰りの船で同乗者の釣果を聞いたが、大体こちら同様のようで、メジナが出なかったということだった。今回は潮が微妙だったのか? 向こうは夜釣りは入り江でやっていたようで、良型イサキやイスズミが連発し、タカベも釣れたらしい。

初の神子元島釣行は何とか(微妙な)お土産を確保し終わった。夕マズメの釣りができると無邪気に夜釣りのほうがいいと思っていたが、夜釣りの難しさも痛感した。


見落としていたが、昼釣りよりも潮が動く時間帯が長くないのも痛い。磯割などで狙いのポイントに入れなさそうな場合は諦めて昼釣りにしたほうが良さそう。

次は伊豆大島にしようかな…。常夜灯があるとこで夜釣りできるしね。

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